2011年10月26日水曜日

■"海の秘境 山の秘境"で連携を にし阿波、四万十・足摺観光圏で座談会


■"海の秘境 山の秘境"で連携を にし阿波、四万十・足摺観光圏で座談会(1)
http://www.travelnews.co.jp/closeup/discussion/1110261124.html
2011/10/26(水) 11:56

徳島県のにし阿波観光圏と高知県の四万十・足摺観光圏の宿泊重点地区の大歩危・祖谷いってみる会(植田佳宏会長=ホテル祖谷温泉)とあしずり温泉協議会(田村卓実会長=足摺国際ホテル)が連携した取り組みを始めている。2つの組織の会員を中心に徳島・高知両県、三好市、土佐清水市の代表メンバーにお集まりいただき、2つの観光圏が連携して何をしようとしているのか、話を聞いた。

交流座談会出席者

【にし阿波観光圏】植田佳宏(大歩危・祖谷いってみる会会長・ホテル祖谷温泉社長)、大平克之(同副会長、大歩危峡まんなか社長)、谷口栄治(同会事務局長、ホテルかずら橋専務)、丸岡進(にし阿波観光圏事務局、徳島県西部総合県民局企画振興部課長 にぎわい交流・観光担当)、桧尾良和(三好市観光課課長)

【四万十・足摺(幡多地域)観光圏】田村卓実(あしずり温泉協議会会長、足摺国際ホテル社長)、武政憲次(土佐清水市旅館組合組合長、ホテル足摺園社長)、山本常好(土佐清水市観光協会会長、足摺パシフィックホテル花椿専務)、田中正(高知県観光コンベンション協会誘致・受入推進部長)、岡崎宏久(高知県観光振興部観光政策課チーフ)、酒井紳三(土佐清水市観光課課長)

【アドバイザー】清水一郎(国土交通省四国運輸局企画観光部部長)、谷本輝重(同観光地域振興課課長)、溝渕祥明(四国ツーリズム創造機構事業推進副本部長)、榎本通也(四国旅客鉄道営業部担当部長)


【オブザーバー】吉岡勝利(大歩危・祖谷いってみる会会員、ホテル秘境の湯支配人)、森岡昭治(同、ホテルサンリバー大歩危事務長)、城野義明(三好市観光課課長補佐)、大境克典(同主任)、林秀樹(あしずり温泉協議会副会長、みさきホテル社長)、福島美佐子(同会員、足摺サニーサイドホテル女将)、小松高志(土佐清水市観光課課長補佐)、山下育(同観光係長)、横山音英(土佐清水市観光協会専務理事)、浜口弘樹(同企画担当)、實島和正(あしずり応援団団長、足摺パシフィックホテル花椿)、山本竜彦(同副団長、足摺国際ホテル)
=以上、敬称略、順不同


「四国全体を売る」 真逆の魅力をコラボ

―なぜ観光圏の連携を考えられたのでしょうか。

植田 私どもの大歩危・祖谷いってみる会は昨年、10周年を迎えましたが、10年前と比べると観光業界は激変し、その中でいろんな施策を講じなくてはならなくなってきました。そういった時期に行政から観光圏の話があり、我々もお手伝いするということでスタートし、今年で4年目を迎えたわけです。
しかしこの4年間、様々なことに取り組んできたものの、旅行会社から商品化するにはエリアがコンパクト過ぎるといった話もあり、エリアとしての限界を感じる場面が出てきました。
そこで、にし阿波エリアだけではなく四国全体を売るという切り口で考えてみたとき、立地的に最も組みやすかったのが足摺でした。

―この話をどのように受け止められましたか。

田村 実は観光圏として認定される前に植田さんから「海と山の秘境」で売っていってはどうかという話はいただいていましたが、両地域が観光圏に認定されたことで、連携話は加速度的に早まったと思っています。
今年1月に交流の第一歩として大歩危・祖谷を伺い、我々の景観とは真逆で驚きました。山が覆いかぶさる景観の大歩危・祖谷と、展望台から270度の水平線が見える我々の景観との違いは大きく、料理の食材も含めて2つのエリアを比べあう形でPRができればと思います。

―大歩危・祖谷いってみる会はこの10年、どのような活動をしてこられましたか。

大平 1998年に明石海峡大橋、99年にしまなみ海道が開通し、四国への入り込み客数は大幅に増えました。ところが2000年3月に徳島自動車道が開通し四国4県を結ぶXハイウエーが全通すると我々の地域は裏街道になり、観光客が来なくなるという危機感を持ちました。その危機感から大歩危・祖谷の旅館5軒が集まり、できたのが大歩危・祖谷いってみる会です。

とはいっても「売り物」はありません。5旅館が共通して持っているものは何だと考えたとき、「温泉」ということになったものの、徳島県には温泉がないというのが当時の一般常識でした。

大歩危・祖谷温泉郷として売っていこうと決めて、パンフレットをつくりセールスに回りましたが、反応はまったくありませんでした。。ただ、ある大阪のバス会社が高速バスを走らせるので、一緒に何かキャンペーンをしないかという話をいただき、これが温泉郷の売り出しのきっかけとなり、JTBとANAがコラボした旅行商品造成に広がりました。

03年には国土交通省と吉本興業が手を組み「温泉観光グランプリ」を募集することになり、それに手を上げたら全国105カ所の中からグランプリを受賞し、西日本で大歩危・祖谷温泉郷は認識していただけるようになりました。
地元とのつながりも重視し、冬まつりや地元にお金が落ちる地域通貨をつくったりしたほか、地域の人と一緒に健康ウォークやJR「大歩危駅」への植樹・清掃、そして次世代の若手の育成を行っています。

―あしずり温泉郷として、この10年を振り返っていかがですか。

武政 足摺は団体主導型で瀬戸大橋、明石海峡大橋、しまなみ海道ができるたびにお客様は増え、93年には100万人が来られました。

現在、足摺には30軒の宿泊施設があり、その中で温泉を利用しているのは10軒です。この10軒が中心になって観光客誘致に取り組んでいます。温泉は89年に掘削し、5年後の94年にあしずり温泉組合ができ、今年4月に一般社団法人あしずり温泉協議会として、新しいスタートを切りました。我々も若手育成としてあしずり応援団を組織しています。

団体型できた足摺ですが最近個人客が増え、個人客を視野に入れた取り組みの必要性を話し合っているときに、今回の連携の話をいただいた次第です。
(トラベルニュースat 11年9月25日号四国特集)




■"海の秘境 山の秘境"で連携を にし阿波、四万十・足摺観光圏で座談会(2)
http://www.travelnews.co.jp/closeup/discussion/1110261125.html
2011/10/26(水) 11:56

―次に、これからの10年について、どのような取り組みをされていかれるのでしょうか。

食や文化、体験で"対決型"の見せ場を提案

谷口 10年前、大歩危・祖谷いってみる会ができて、地域の旅館が仲良くして知恵を出し合うと、様々な場面でニュースとして取り上げてもらえることを知りました。また行政との連携で、活動に幅ができました。我々の会ができるまで、大歩危・祖谷というエリアは、大歩危峡やかずら橋に観光に来た人が泊まるところでした。温泉郷として認識いただくことで目的地となり、「お美姫鍋」といった地元の食を開発したり、インターネットで共通のプランを出したりできるようになり、あらためて"連携"の重要性を実感しています。
その意味で足摺やオール四国との連携は非常に大事で、連携を強化する体制づくりが必要だと思います。
山本 個人型に移行しようといっても地域全体で取り組まないと実現は無理でしょう。そういう転換期に観光圏の認定を受け、この事業にうまく乗ることで個人客対応のできる温泉地への移行を図りたいと思っています。
個人客対応となると「人に優しい観光地」というイメージも必要なので、足摺展望台をバリアフリー化する計画も進めています。インバウンドについても行政とともに腰をすえて取り組んでいますが、ジョン万次郎出生の地でもあるわけですから、ジョン万次郎をうまく活用して欧米からの誘客を狙いたいですね。

―2つの観光圏の現状を聞かれて溝渕さんは、どのようにお感じになりましたか。

溝渕 先般、香港で大歩危・祖谷と四万十・足摺を「海の秘境 山の秘境」としてPRしてきましたが、非常に好評でした。インバウンドや個人客を誘致するにはお題目が必要で「海の秘境 山の秘境」というキャッチコピーは、新しい切り口でいいと思っています。

―両観光圏とも民間と行政の連携がうまくいっている好例だと思いますが、行政サイドのご意見は。

桧尾 大歩危・祖谷地域は元々、通過型の観光地として栄えてきました。行政側としては、それも観光だと思っていましたが、ここ数年は地域に滞在してもらい、その地の歴史や文化、生活する人の生き方を知っていただくことが観光だと捉えています。

妖怪屋敷や襖からくりといった取り組みも、そういった観点から始めたものです。大歩危・祖谷はこういった素材が数多く残っているので、前面に出していきたいと思っています。
酒井 土佐清水市の観光はジョン万次郎を観光資源とする誘客促進、広域観光の推進、やさしい観光地づくりの促進などを進め、本市の基幹産業として位置づけてはいますが、個人客の動きを見ると新たな観光地づくりを行う転換期にきています。

丸岡 2月から観光地域づくりプラットホームを推進する一般社団法人を立ち上げ、着地型旅行商品の造成と販売促進に取り組んでいます。先日も首都圏の旅行会社へ来年のNHK大河ドラマ「平清盛」、落合集落、妖怪屋敷をからめた着地型ツアー商品をPRしてきました。
岡崎 圏域内の2泊3日以上の周遊ルートを構築するため、体験プログラムの開発や人材育成事業を行っています。観光圏としての入り込み客目標は達成していますが、宿泊客数では伸び悩んでいます。

田中 台湾の航空会社が今年の11月に高知、岡山のプログラムチャーターという形で6便運航します。先日も台湾の旅行会社14社に足摺へモニターツアーでお越しいただきましたが高い評価を得ました。一部の旅行会社からは高知、岡山の4泊5日のツアーで、2泊四国周遊型の商品を造ってもいいとの声もいただいています。

日本における旅行商品の滞在型を進める中で、体験型の着地型プログラムは重要で、すでににし阿波観光圏ではそういう商品も造っておられるので、四万十・足摺観光圏でも同様のプログラムを造って対比、対決型の見せ方をすれば面白いのではないでしょうか。
谷本 観光圏で宿泊重点地域にあたる大歩危・祖谷いってみる会とあしずり温泉協議会の連携はいいことですね。すでに話が出ているように「海の秘境 山の秘境」というキャッチコピーもできているようですし、それぞれ開発した商品の情報を共有化して、旅行雑誌などにアプローチをかけてはどうでしょうか。

―この2つの観光圏を結ぶJRさんのご意見は。

榎本 今後必要なのは、地域の顔が見える情報発信で、今回テーマとなっている「秘境」も食や地域ガイド、ボランティアの人たちの顔を出しながらストーリーをつないでいくことが大事でしょう。観光は自然や景色と重ねてしまいがちですが、両地域が支持されるのはシニア層で、その人たちに何回も来てもらうには人と文化の魅力を発信すべきです。

―本日の話し合いの中で「海の秘境 山の秘境」として両地域が連携していくことは共通認識になったと思います。これから誘客活動や共同宣伝など一緒になって進めていけることは多々あることでしょう。そこで、最後のまとめとして両地域が連携を進めるための協議会の設立を提案して、今日の座談会を閉めたいと思います。
(トラベルニュースat 11年9月25日号四国特集)




■"海の秘境 山の秘境"で連携を にし阿波、四万十・足摺観光圏で座談会(3)
http://www.travelnews.co.jp/closeup/discussion/1110261126.html

大歩危・祖谷いってみる会(植田佳宏会長)と、あしずり温泉協議会(田村卓実会長)の代表メンバーが出席して行った座談会終了後、オブザーバーも加わり意見交換会を開いた。


意見交換会で協議会設立を承認 人材育成など連携強化

田村会長からは座談会の席上、コーディネーターから提案のあった協議会設立についての確認が行われ、満場一致で承認された。協議会は植田会長と田村会長がそれぞれの地域の代表としての任につき、新たに会長をつくらないことを決めた。

具体的な取り組みについては、若手人材グループの育成としてオフ期に双方の若手グループがそれぞれの地域を訪れ、地域の清掃などを行うほか、インターネットで両地域のアピールも図っていく。
また、定期的に情報交換会も行い、「海の秘境 山の秘境」として特性を知り合うことでメディアへの働きかけも考えていく方針だ。

インバウンドや個人型旅行に関しても双方が協力して学びあっていくとした。観光圏内の宿泊重点地域として、できることから取り組んでいくことも確認した。

座談会の前にあいさつした国土交通省四国運輸局企画観光部の清水一郎部長は「3月11日の東日本大震災以降、観光を取り巻く環境は厳しいが、西日本から元気を発信したい。そういった中での観光圏同士の連携は大事だ」と、両観光圏の連携にエールを送った。

大歩危・祖谷いってみる会と徳島県、三好市の一行は翌日、足摺岬灯台や足摺七不思議などを見学したあと、ジョン万次郎記念館を視察し、カツオのたたき体験を行った。

(トラベルニュースat 11年9月25日号四国特集)



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