2012年5月17日木曜日

■出揃ったファストファッションを検証する~迎え撃つ日本勢はどう戦うべきか


■出揃ったファストファッションを検証する~迎え撃つ日本勢はどう戦うべきか(1) 
http://www.data-max.co.jp/2012/05/16/post_16447_dm1509_1.html
流通2012年5月16日 11:30

  4月18日、東京・原宿に洋服の青山がFCで運営する「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」が日本初上陸を果たした。これで数年来続く外資系の低価格衣料品チェーンがほぼ出揃い、迎え撃つ日本勢との戦いはますます激しさを増す。大手メディアは「価格が安い衣料品ブランド」をすべてファストファッションのごとく紹介しているが、それは大きな誤解だ。ここでは各社のポジション整理をしながら、戦略の行方を検証する。

<速く、安く、おしゃれで日本市場を激的に攻略>
 2008年9月にスウェーデンのH&Mが東京銀座に上陸し、翌年4月には米国のフォーエバー21が原宿に開店して一気に火がついたファストファッション。しかし、衣料品の製造小売り業(SPA)がすべてファストファッションかと言えば、決してそんなことはない。

 ファストファッションとは、「トレンドデザインに特化し、品質と開発期間を圧縮して、低価格と鮮度を実現したもの」。つまり速い、安い、おしゃれな衣料品である。だから、ベーシックなデザインで、時間をかけて商品を開発するギャップやユニクロは当てはまらない。
 また、スペインのザラも自社開発で適度なモード感と高い完成度をもつことを考えると、ファストファッションには入らないというのが筆者の見方である。  ただ、消費者が新参の店舗を訪れるのは、洋の東西を問わず似たような傾向で、どの業態も上陸初年度はロケットスタートを切っている。中でも、H&Mは日本における09年の上半期(08年12月〜09年5月)の売上高は、2店舗で年間120億円を売り上げるペースで快進撃した。

 その後、10年の第1四半期(09年12月~10年2月)は6店で、3億5,300万クローネ(1クローネ12.4円換算で、約43億7700万円) まで降下したものの、12年の第一四半期は11店で対前年比17%増(売上げ4億900万クローネ/約50億7,100万円)と、順調に推移。今期は新たに15店舗を出店する。

<大衆消費市場への回帰が低価格衣料の需要を喚起>
 一方、フォーエバー21は未上場で決算公開をしていないが、業界関係者の間ではH&M天神店と同日、同ビルにオープンした福岡天神店他を加えた10店舗で、推計250億円は堅いとの話が支配的だ。

 まさにあの商品単価を見ると、驚異的な数字としか言いようがない。日本の衣料品市場が低価格にシフトした中、品質や出来映えを落としてでも速い、安い、おしゃれなファッションに舵を切った企業が、品質や出来映えにこだわるところを駆逐し、市場をリードするのは間違いないだろう。

 外資系に限らず、ユニクロやしまむらの人気も底堅い。これは日本に置ける消費傾向がボリューム化、つまり大衆消費市場向きになっていること。そこでは先進国で好まれるような付加価値や過剰な機能は必要ない。むしろ余分な価値や機能を削ぎ落とした低価格商品が求められるのである。

 経済の衰退で、サラリーマンを中心とした中産階級が没落。年収の伸び悩みや低所得者の増加により、少ない消費と身の丈にあった価値感の生活がメジャーとなって、発展途上国に舞い戻ったような様相だ。ユニクロよりさらに低価格のジーユーが、銀座で多くのお客を集める。これが日本の現実なのだ。

 グローバルな経済と市場が形成され、先進国と発展途上国との生活水準に大差がなくなった今、ことファッション、衣料品に限ってみれば、日本市場だけが高品質、高付加価値のものが求められることは決してないということである。






■出揃ったファストファッションを検証する~迎え撃つ日本勢はどう戦うべきか(2) 
http://www.data-max.co.jp/2012/05/17/post_16446_dm1509_1.html
流通2012年5月17日 07:00

  4月18日、東京・原宿に洋服の青山がFCで運営する「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」が日本初上陸を果たした。これで数年来続く外資系の低価格衣料品チェーンがほぼ出揃い、迎え撃つ日本勢との戦いはますます激しさを増す。大手メディアは「価格が安い衣料品ブランド」をすべてファストファッションのごとく紹介しているが、それは大きな誤解だ。ここでは各社のポジション整理をしながら、戦略の行方を検証する。

<H&Mと同ビルの出店が魅力をアップ>
 フォーエバー21は米国ロサンゼルス発のファストファッションである。福岡天神店は同日オープンした隣のH&M天神店に比べると、お客の入りはいいようだ。同社は2009年4月29日、東京原宿に日本第1号店をオープン。1年後の10年4月29日、松坂屋銀座店にグッチの後継店として、大型業態をオープンさせて一躍話題となった。

 3号店は渋谷、そして4号店はららぽーと横浜店に開店。福岡天神店は首都圏、関東以外では初めてで、それだけ九州にかける意気込みが伝わってくる。

 日本では今期開店の4店舗を加えた計10店で年商250億円は堅いと言われるから、1ブランドで稼ぎ出す額としては驚異的だ。しかも日本だけの傾向でははなく、ニューヨーク、ロサンゼルス、ドバイなどグローバルな衣料品チェーンが多数展開する地域でも、業績は予想をかなり上回っていると言われている。

 やはり、リーマンショック以降の消費不況が追い風になっているのは間違いないようだ。日本1号店はH&M原宿店の隣という絶好の立地だったことで、同店の魅力を押し上げなおかつお客の比較選択させたことが快進撃に繋がった。福岡天神店もそうした成功体験のもとで、同ビルに出店したと言えるだろう。

 また、同社はローコストオペレーションを徹底するため、広告宣伝や販促にもシビアと言われているが、日本上陸に当たっては大々的なプロモーションを展開。福岡出店に際しても地元メディアを活用したパブリシティを展開するなど、販促手法は濃やかで巧みだ。

<商品調達も経営もすべて世界標準>
 ただ、 フォーエバー21がいきなり消費者の心をとらえたのは、安さ、つまり価格競争力である。福岡天神店で購入した女性に聞くと、「いち早いトレンドなので、安い方が冒険できる」などと、非正規雇用など生活が不安定になるなか、衣料費を抑えたい消費者にとっては価格が第一で、品質は後回しのようである。

 それ以上に若い女性を惹き付けるのが「かわいいデザイン」。日本人はパリ発の尖ったモードより、ポップで、フェミニンなLAスタイルの方を好む。しかも、トレンドを押さえながら、レースやフリルなど隅々に凝った加工は、シンプルな着こなしが苦手な日本女性向きだ。

 さらに店づくりは逆にゴージャスで、配色や照明、試着室までデザインは秀逸。実は同社のオーナーは、韓国系米国人のチャン一族。つまり、感性もサイズも近いところが日本人には合うのである。

 商品は少量、多品種で展開し、毎日新しい商品が入荷するため、売場の鮮度は常に高い。それが「今買わないと後悔する」と消費者の購買意欲をそそる。こうした商品の調達は、ODM(相手先ブランドによる企画・生産)とOEM(相手先ブランドによる生産)で、ベンダー(アパレルメーカー)からの仕入れ。チャン会長夫人が毎日メーカーをまわり、サンプルを確認して買い付けている。

 旬のファッションを捉える感性と先見性をもち、商品の調達から出店、経営スタイルまでのすべてがグローバルスタンダード。日本のアパレル、小売りとは全くビジネス発想が違う点が同社の強みと言える。



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