日本のサービスは既に遅れている。中国の火鍋チェーン店に学べ!
http://www.chinabusiness-headline.com/2012/03/22884/
2012/3/29 辰野 元信
今回、ウルムチとは関係ないですが、日本側も早くしないとあらゆる面で中国に追い抜かれていまう!という警鐘を鳴らす意味でご紹介します。以前、私自身のブログでも紹介しましたが、末恐ろしいと思いました。中国のチェーン火鍋店「海底捞火锅」(ハイ・ディ・ラオ・フオ・グオ)。もう中国在住の方には、言わずもがな、です。
私も周りの方達の評判の高さに驚いて、以前夜中で食後にも関わらず、行ってみてしまいました。 四川で開業した、一人100元程度(約1200円)の火鍋店です。現在は上海、北京を始め、60店舗を数えます。従業員も14,000名だそう。
深夜も賑わい、週末には長蛇の列ができます。辛いのと辛くない鍋が出てきて、自分で好みのタレを作り、具材を入れて、食べます。 非常に美味しいです。が、他の火鍋屋と、極端に差があるかというとそこまでではありません。やはり、サービスが大きな差別化です。
では、ここのサービスの何が凄いかといいますと、 まず、
・店員が目を見てニッコリ笑ってくれる。
重要で当たり前のようですが、中国では店員によってバラつきがあって、人によって、といった感じですが、ここでは徹底されています。 日本でも目を見て笑ってくれる店員って、いつでも会えるわけではないですよね。
・他の火鍋店と違って、具材を鍋に入れてくれる。
これ、結構うれしいです。え?そんなこと?と思われたかもしれませんね。では、他、一気に行きます(私が受けていないサービスも入っています)。
・並んでいる間の時間つぶしのため、キッズルーム、無料靴磨き、無料ネイルなど、あらゆるサービスを提供
・テーブルのおしぼりは定期的に新しいのと交換
・くしゃみをするとすぐにティッシュを持ってくる
・麺は目の前で大道芸のように振り回して延ばしたものを提供
・トイレでは人が常駐しており、いつも清潔でハンドソープも出してくれ、おしぼりも渡す
・食べきれなかった皿は返品OK
・雨が降ったら傘無料貸し出し ・会計に合わせて車を駐車場から入口まで回してくる
等々・・・。一人の単価が100元でここまでするのが凄過ぎます。 前に日本の靴屋が、顧客を前にひざまずく、というのが過剰サービスだと言われたのが記憶に新しい中、日本人からすれば、単価1200円の顧客にここまですることこそ、過剰サービスと思ってしまいます。
ただ、顧客にとってはうれしいことだし、サービスとしても「分かりやすい」。コスト・労力の割りにリピーターに繋がらないサービスは過剰というか、見直しても良いサービスだと思いますが、分かりやすいサービスは効果も大きいですよね。
更に更に。 従業員には、顧客のために自由度を持ってサービスを提供する権限が与えられています。
例えば、顧客がアイスクリームを食べたいがメニューにない、といった場合。 店員がハーゲンダッツを買ってきます。上司にお伺いを立てる必要はありません。実際、私も頼んでみたところ、すぐに買ってきてくれました。 あれ?これなんかリッツカールトン方式じゃない?と思いませんか(リッツは5万円までなら顧客のために従業員が上の了承なしに使える。眼鏡を忘れた顧客を追いかけて新幹線で届けた例はあまりに有名)。 最高峰のサービスを目指す世界屈指のホテルチェーンのサービスを取りこんでいるとすれば、もうこれはただの火鍋屋のレベルではありません。
もちろん、世界屈指のホテルのサービスを取りこんだ火鍋屋、だけであれば、「凄いけどマネしただけね」と思う人もいるかもしれません。「マネしたくてもできないから凄い」リッツのサービスレベルを、もし仮に導入していたとしたら、それだけで、もう十分すごいのですが(注:実際に参考にしたかは知りません)、何とそれだけではありません。
更に更に更に。 従業員への人心掌握術が凄い。
・住居は寮を完備
・食事も提供
・夫婦で従業員の場合は、夫婦手当
・子供がいれば、子供手当 ・実家が農村なら農村手当
・長期間勤務記念品贈呈
等々。 中国の事情にあった、至れり尽くせりの待遇を提供しています。
余談ですが、中国人の方は、仕事に対して、日本人と優先順位が逆です。 日本人は「会社」「家族」ですが、中国人は「家族」「会社」です。ですから、日本では家庭を顧みないで自分の勤める会社のため、仕事に邁進する人が多いですが、中国だと、家族に「よりよい条件で転職した(成功している)」という面子を立てる方が、会社に対するロイヤリティーよりも遥かに重要なため、今まで働いていた会社には何の連絡も入れず、突然転職してしまう人が多いわけです。
すると、中国では、優秀な人材を如何に自分の会社にキープしていけるかが、経営者にとっても最重要課題となります。 ですから、優秀な人材を留めるために、上記のような待遇を用意することは、決して過剰とは言えないかもしれません。 そしてそれを可能にするために、単価を高めに設定(100元は地元では少し高め)し、圧倒的なサービスレベルで他社の追随を許さず、リピーター顧客を増やし続けている訳です。
そして、人心掌握術、トドメはこれ。
・管理職になるタイミングで、代表取締役が、その従業員の実家を訪ね、挨拶してくれる。
「家族」が最重要の中国で、これは効きます。子供として面子も立ちますし、もし転職をしようとしたなら、家族が「あんな良い会社を辞めるのか」と、止めるでしょう。一万人規模の会社になった今も、代表取締役はこれを続けているそうです。 もちろん、この会社はどんな社員でも役員になる可能性を持たせています。
実際、8名の役員のうち、店のスタッフからなった人が6名います。なんて凄いサービス、なんて真っ当な会社。 世界トップレベルのサービスを取り入れ、そこに中国の事情に合わせた人心掌握術。見事なハイブリッドです。
もちろん、中国でもこのレベルはセンセーショナルなサービスですが、いつかは「当たり前」になるでしょう。 その時、「中国は怖い」と、打って出なかったサービスを提供する日系企業は、「サービスは差別化が難しい」「中国の事情に合わせた管理ができない」といった、中国で全く優位性のない、勝算のない企業に転落している可能性が高いです。
早く、今、出て行って、難しくても、壁にぶつかりまくっても、アジャストし、「日本のサービスの良さ」と「中国の事情に合わせた管理術」のハイブリッドを形成し、シェアを取って、新たなハイブリッドサービスの向上を模索していくサイクルを作っていくべきだと思います。
最後に、張勇董事長(代表取締役)が雑誌で語った言葉です。「従業員に、努力すれば何事も達成できると信じさせ、自分についてくるスタッフが自分達自身で運命を変えることを目標としている。スタッフの運命が変わらなければ、海底捞火锅の運命、自分の運命を変えることなど、不可能だと考えている」
「海底捞火锅」 日本人こそ、学ぶものが多いのではないでしょうか。
http://www.chinabusiness-headline.com/2012/03/22884/
2012/3/29 辰野 元信
今回、ウルムチとは関係ないですが、日本側も早くしないとあらゆる面で中国に追い抜かれていまう!という警鐘を鳴らす意味でご紹介します。以前、私自身のブログでも紹介しましたが、末恐ろしいと思いました。中国のチェーン火鍋店「海底捞火锅」(ハイ・ディ・ラオ・フオ・グオ)。もう中国在住の方には、言わずもがな、です。
私も周りの方達の評判の高さに驚いて、以前夜中で食後にも関わらず、行ってみてしまいました。 四川で開業した、一人100元程度(約1200円)の火鍋店です。現在は上海、北京を始め、60店舗を数えます。従業員も14,000名だそう。
深夜も賑わい、週末には長蛇の列ができます。辛いのと辛くない鍋が出てきて、自分で好みのタレを作り、具材を入れて、食べます。 非常に美味しいです。が、他の火鍋屋と、極端に差があるかというとそこまでではありません。やはり、サービスが大きな差別化です。
では、ここのサービスの何が凄いかといいますと、 まず、
・店員が目を見てニッコリ笑ってくれる。
重要で当たり前のようですが、中国では店員によってバラつきがあって、人によって、といった感じですが、ここでは徹底されています。 日本でも目を見て笑ってくれる店員って、いつでも会えるわけではないですよね。
・他の火鍋店と違って、具材を鍋に入れてくれる。
これ、結構うれしいです。え?そんなこと?と思われたかもしれませんね。では、他、一気に行きます(私が受けていないサービスも入っています)。
・並んでいる間の時間つぶしのため、キッズルーム、無料靴磨き、無料ネイルなど、あらゆるサービスを提供
・テーブルのおしぼりは定期的に新しいのと交換
・くしゃみをするとすぐにティッシュを持ってくる
・麺は目の前で大道芸のように振り回して延ばしたものを提供
・トイレでは人が常駐しており、いつも清潔でハンドソープも出してくれ、おしぼりも渡す
・食べきれなかった皿は返品OK
・雨が降ったら傘無料貸し出し ・会計に合わせて車を駐車場から入口まで回してくる
等々・・・。一人の単価が100元でここまでするのが凄過ぎます。 前に日本の靴屋が、顧客を前にひざまずく、というのが過剰サービスだと言われたのが記憶に新しい中、日本人からすれば、単価1200円の顧客にここまですることこそ、過剰サービスと思ってしまいます。
ただ、顧客にとってはうれしいことだし、サービスとしても「分かりやすい」。コスト・労力の割りにリピーターに繋がらないサービスは過剰というか、見直しても良いサービスだと思いますが、分かりやすいサービスは効果も大きいですよね。
更に更に。 従業員には、顧客のために自由度を持ってサービスを提供する権限が与えられています。
例えば、顧客がアイスクリームを食べたいがメニューにない、といった場合。 店員がハーゲンダッツを買ってきます。上司にお伺いを立てる必要はありません。実際、私も頼んでみたところ、すぐに買ってきてくれました。 あれ?これなんかリッツカールトン方式じゃない?と思いませんか(リッツは5万円までなら顧客のために従業員が上の了承なしに使える。眼鏡を忘れた顧客を追いかけて新幹線で届けた例はあまりに有名)。 最高峰のサービスを目指す世界屈指のホテルチェーンのサービスを取りこんでいるとすれば、もうこれはただの火鍋屋のレベルではありません。
もちろん、世界屈指のホテルのサービスを取りこんだ火鍋屋、だけであれば、「凄いけどマネしただけね」と思う人もいるかもしれません。「マネしたくてもできないから凄い」リッツのサービスレベルを、もし仮に導入していたとしたら、それだけで、もう十分すごいのですが(注:実際に参考にしたかは知りません)、何とそれだけではありません。
更に更に更に。 従業員への人心掌握術が凄い。
・住居は寮を完備
・食事も提供
・夫婦で従業員の場合は、夫婦手当
・子供がいれば、子供手当 ・実家が農村なら農村手当
・長期間勤務記念品贈呈
等々。 中国の事情にあった、至れり尽くせりの待遇を提供しています。
余談ですが、中国人の方は、仕事に対して、日本人と優先順位が逆です。 日本人は「会社」「家族」ですが、中国人は「家族」「会社」です。ですから、日本では家庭を顧みないで自分の勤める会社のため、仕事に邁進する人が多いですが、中国だと、家族に「よりよい条件で転職した(成功している)」という面子を立てる方が、会社に対するロイヤリティーよりも遥かに重要なため、今まで働いていた会社には何の連絡も入れず、突然転職してしまう人が多いわけです。
すると、中国では、優秀な人材を如何に自分の会社にキープしていけるかが、経営者にとっても最重要課題となります。 ですから、優秀な人材を留めるために、上記のような待遇を用意することは、決して過剰とは言えないかもしれません。 そしてそれを可能にするために、単価を高めに設定(100元は地元では少し高め)し、圧倒的なサービスレベルで他社の追随を許さず、リピーター顧客を増やし続けている訳です。
そして、人心掌握術、トドメはこれ。
・管理職になるタイミングで、代表取締役が、その従業員の実家を訪ね、挨拶してくれる。
「家族」が最重要の中国で、これは効きます。子供として面子も立ちますし、もし転職をしようとしたなら、家族が「あんな良い会社を辞めるのか」と、止めるでしょう。一万人規模の会社になった今も、代表取締役はこれを続けているそうです。 もちろん、この会社はどんな社員でも役員になる可能性を持たせています。
実際、8名の役員のうち、店のスタッフからなった人が6名います。なんて凄いサービス、なんて真っ当な会社。 世界トップレベルのサービスを取り入れ、そこに中国の事情に合わせた人心掌握術。見事なハイブリッドです。
もちろん、中国でもこのレベルはセンセーショナルなサービスですが、いつかは「当たり前」になるでしょう。 その時、「中国は怖い」と、打って出なかったサービスを提供する日系企業は、「サービスは差別化が難しい」「中国の事情に合わせた管理ができない」といった、中国で全く優位性のない、勝算のない企業に転落している可能性が高いです。
早く、今、出て行って、難しくても、壁にぶつかりまくっても、アジャストし、「日本のサービスの良さ」と「中国の事情に合わせた管理術」のハイブリッドを形成し、シェアを取って、新たなハイブリッドサービスの向上を模索していくサイクルを作っていくべきだと思います。
最後に、張勇董事長(代表取締役)が雑誌で語った言葉です。「従業員に、努力すれば何事も達成できると信じさせ、自分についてくるスタッフが自分達自身で運命を変えることを目標としている。スタッフの運命が変わらなければ、海底捞火锅の運命、自分の運命を変えることなど、不可能だと考えている」
「海底捞火锅」 日本人こそ、学ぶものが多いのではないでしょうか。
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