2012年2月29日水曜日

■東日本巨大地震:飢え死にして放置される動物たち


東日本巨大地震:飢え死にして放置される動物たち
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/28/2012022801286.html
2012/02/28 13:08
  

太田康介さん

 「震災から1年が過ぎようとしているが、原発周辺で生き残っている牛などの家畜やペットは、今も飢えと寒さに苦しみながら支援を待っている」

 福島第一原子力発電所周辺で動物の保護活動を行いながら、現場の様子をカメラで撮影し続けている太田康介さん。太田さんが現場に飛び込んだのは昨年3月30日だった。「原発周辺では住民の多くが避難したため、犬や猫などのペットが飢えに苦しんでいる」とのニュースを聞いた直後だった。自らも猫を飼っている太田さんは、車に餌を積んで現場に向かった。当時は警察も立ち入りを統制していなかったため、原発のすぐ近くまで接近することができた。

 太田さんは現場で会った動物愛護団体の関係者と協力し、放置された犬や猫を保護しながら、周辺に餌を置いた。また、リードにつながれたまま動けず、飢え死にしかけていた犬も救った。太田さんは「死んだ状態で放置された牛や豚など家畜の悲惨な姿は、地獄を思い起こさせた」と話す。太田さんは自分も知らないうちにカメラのシャッターを押し、撮影した写真を集めて『のこされた動物たち 福島第一原発20キロ圏内の記録』という写真集を出版し、展示会も開いた。太田さんはアフガニスタンやボスニア戦争を取材した経験もある、プロのカメラマンだ。

 太田さんはこれまで週1回、延べ35回、50日間にわたり原発周辺の現場を取材した。日本政府は昨年4月22日から現場への接近を厳しく統制しているが、太田さんたちは警察の目を盗みながら、今も活動を続けている。太田さんは「警察が知らないわれわれだけのルートがある。動物愛護団体のメンバーも、最近はよく現場にやって来る」と語った。

 原発の周辺では今も、動物愛護団体のメンバーが50-60人ほど活動しているという。メンバーはこれまで犬を1500匹、猫を2000匹ほど保護した。太田さんは「現場から救出した犬や猫は、放射能汚染の検査を受けた上で、新しい飼い主を探している」と語った。太田さんは防護服を着用せず原発周辺に近づいた際、簡易測定器が329マイクロシーベルトにまで上昇した経験したという。これは東京に比べると数千倍だ。太田さんは「放射能は目に見えないためか、銃弾が飛び交う戦場ほどの恐怖は感じない。健康に致命的となる可能性は理解しているが、人災(原発事故)で動物たちが死んでいくのを放置することはできない」と語った。

 太田さんは「飼い主に捨てられた犬が、飢えに苦しみながら家を守り、飼い主の帰るのを待つ様子を見て涙が出てきた」「腹をすかした猫が、鶏を襲うことなく仲良く過ごす不思議な光景も見た」「動物の多くはすでに餓死したが、今も多くの牛や犬が寒さと空腹に耐えながら、原発の周辺で生きている」などと語る。事故直後は3500頭の牛がいたが、今も1000頭は生き残っていると推測されている。太田さんは原発事故後に生まれた子牛を見て、生命に対する畏敬の念を感じたこともあるという。雪が降る原発周辺には、今も動物の足跡が無数に残っている。

 人間が立ち去った集落が荒廃する様子も目の当たりにした。太田さんは「昨年の夏には人間の背丈ぐらいにまで伸びた雑草が住宅を覆っていた。またツタが道路を多い、まるでジャングルのように変貌していた」と話す。さらに「一部では原発周辺で動物たちが野生化したという見方もあるが、私はこれに同意しない。生存本能から何とか生き抜いているだけだ」と語った。東京電力と政府は、畜舎などに残った動物の死骸はほぼ撤去したが、今も山林の中には家畜の骨が数多く転がっており、残酷な光景が残っているという。太田さんは「政府は原発周辺の家畜を無条件で殺処分しているが、これは原発の惨状を隠蔽(いんぺい)するためだ」と指摘した。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


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