2012年2月29日水曜日

■【上海ブログ】「ONE PIECE」字幕から中国語「応該」を考える


【上海ブログ】「ONE PIECE」字幕から中国語「応該」を考える
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0228&f=national_0228_078.shtml
2012/02/28(火) 12:09
  
 中国人の言う、「没問題、没問題」という言葉は、軽い、ということが良く言われる。それを聞いた日本人は安心していたが、実際は全く「没問題」ではなく、問題は複雑化し、収拾がつかなくなる。。よく例えられる話だ。

 同じような例として、「応該」という言葉がある。中国語の教科書では、英語のmustに相当する、などと書かれている。mustは一部例外を除き、通常、「しなければならない」「でなければならない」など強い意味合いがある、「の、はずだ」。

 しかし「応該」の実際の使われ方は、極めて弱い。「応該可以的」「応該没問題的」。いずれも「絶対、大丈夫だ」と訳し、考えてはいけない。「大丈夫なはずだ、多分」ぐらいに受け止めといた方がよい。

 念のため、辞書を調べてみると、「…のはずだ」の意味もあった。

(1)(道理の上から)当然…すべきだ
・これは我々がやらなければならない事です。
(2)…のはずだ
・これはブランド製品だから、信用できるはずだ。

 しかし、それでも肯定的なニュアンスが強く、「覆される」ことを前提とはしていないように見受けられる。実際の使用状況とはやはりニュアンスが違うような気がする。

 話は変わるが、大人気アニメ・漫画に「ONE PIECE(ワンピース)」がある。日本でも単行本が出れば販売数新記録を樹立し続ける人気ぶりだが、中国でも相当数のファンがいる。違法なのだろうが、中国の動画サイトではアニメの最新話がわずか数日(早ければ翌日)遅れで中国語字幕付きでアップロードされている。

 中国における日本のポップカルチャー浸透度合いや、そこで使われている字幕の正確さやうまさ、使い回しなどを確認するために、「ONE PIECE」に限らず、日本のアニメを中国の動画サイトでよく見る(すみません)。

 最近株式上場した土豆(Tudou)では、一旦アップロードされた「ONE PIECE」が、自己規制か、結構削除されていたりする。中国企業の株式上場によるコンプライアンスの浸透・徹底度合いも確認できる。これこそ余談、言い訳。

 その「ONE PIECE」の魚人島編で登場するキャラクターに、バンダー・デッケンという伝説の海賊の子孫、というのがいる。マトマトの実という悪魔の実を食べた、と、詳細は置いといて、その彼の口癖は、語尾に「~の、はずだ」と付けるというもの。彼のセリフの字幕を確認してみると、「~の、はずだ」部分はやはり「応該是這様」などと訳されていたりする。

 近い語感では、「一定是」「説不定」などがあるし、バンダー・デッケンのセリフでは時々これらも使われていた。「説不定」はともかく、教科書的には「一定是」も比較的強い意味合いという風に教えられるはずだが。。

 中国動画サイトの日本語字幕、時々難しい日本語の言い回しをわけ分からない訳し方をしていたりするが(その勘違いがどうして発生したのかをトレースするのも楽しい)、そうしたケースは非常に稀で、見つけるのは至難の業。ニーズの多い人気アニメになればなるほど、字幕の精度は高まる傾向があるようだ。その字幕を信じるのであれば、「応該」はやはりmustではなく、バンダー・デッケンの語尾の「~の、はずだ」ぐらいのニュアンスにとらえた方がよさそうだ。

 もちろん実際の言い方によるところもある。日本人の私は「応該」をmust的に使うことが多く、それはすでに無意識的に使用している部分もあるが、弊社の中国人スタッフもそれに慣れているようなので、私の言う「応該」をしっかり聞いてくれたりはする。奥が深い。



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