2012年2月20日月曜日

■韓中日のベストセラーに見る民族性


韓中日のベストセラーに見る民族性
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/19/2012021900098.html
2012/02/19 07:33

 怒りに沸き立つ韓国人、勢いづく中国人、クールなのか中身がないのか分からない日本人―。

 最近5年間の韓国、中国、日本のインターネット書店のベストセラーに表れた各国の集団心理だ。朝鮮日報ブックスチームは、YES24(韓国)、当当網(中国)、アマゾン・ジャパン(日本)という各国を代表するインターネット書店が集計した2007年から11年までのベストセラーを分析した。どんな本を読んでいるかで、人の内心が読み取れるからだ。米国発の金融危機に続き、欧州財政危機の拡大を懸念している点は共通だが、未来に対する自信感は3カ国でそれぞれ異なった。ブックスチームはベストセラーとなった図書の内容を▲怒り▲成功▲慰め▲その他―という四つのジャンルに分類した。それによると、最も怒っていたのはやはり韓国人だった。

 世界的な金融危機前の2007年まで、韓国人は「懸命に生きよう」と勧める本を好んだ。YES24総合ベストセラー30位以内に入った本のうち11冊が「なせば成る」と主張する自己啓発書と経営書だった。

『ザ・シークレット』(サルリムビズ)、『勝つ習慣』(サム&パーカーズ)、『ばかみたいに勉強し、天才のように夢見よ』(明進出版社)が代表的だ。それに次いだのが慰めの本だった。『配慮』(ウイズダムハウス)、『パペポポアンダンテ』(弘益出版社)など6冊が人の心を慰める本だった。ところが、08-09年になると、雰囲気が変わった。成功をアピールする本の人気が陰り、その代わりに『悪いサマリア人』(ブッキー)、『るつぼ』(創批)など体制や社会の矛盾を分析、暴露した本が大衆的なベストセラーになった。

 10-11年にはそうした風潮がさらに強まった。サムスングループの裏金事件を扱った『サムスンを考える』(社会評論)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の自叙伝『運命だ』(トルベゲ)がブームとなり、『これからの「正義」の話をしよう』(キムヨン社)は100万部を売り上げた。昨年10月からは過激な言葉に埋め尽くされた『黙って政治』(プルンスプ)が飛ぶように売れている。


■「成功の書」売れず―韓国

 一方、成功をアピールする本がベストセラーになるケースは減少した。売れたのは『スティーブ・ジョブズ』(民音社)、『リーディングでリードしろ』(文学トンネ)、『魂創通』(サム&パーカーズ)程度に限られる。

 一方、静かなブームとなっているのが慰め、省察、共感のメッセージを伝える本だ。昨年8月『つらいから青春だ』(サム&パーカーズ)が出版から8カ月で100万部を売り上げた際、出版業界からは「もう売れるだけ売れた」という声が聞かれた。しかし、受験に失敗した学生がブームに加わり、売り上げは150万部を一気に突破した。

 つまり、韓国では成功に対する熱望と自信感が弱まり▲正義と資本主義に対する懐疑▲慰めと共感に対する渇望―が広がったわけだ。


■スーパーパワーへの道―中国

 その間、中国と日本は全く異なる道を歩んだ。中国の当当網が集計したベストセラーによると、正義を叫ぶ本は過去5年間で上位20冊に入ったことがなかった。むしろ、09年にはスーパーパワー中国の復活をうたった『中国不高興(中国は不機嫌だ、日本語版は『不機嫌な中国 中国が世界を思い通りに動かす日』)』という本が人気を集めた。全般的に健康、育児、歴史を扱った本が人気を集める中、『ザ・シークレット』など成功を訴える本も売れ筋となっている。

 改革開放が進行中の社会主義国家だからか、予想外の本がベストセラーになることもあった。08年にはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』、米心理学者スコット・ペックの『愛と心理療法』(原題・The Road Less Traveled and Beyond)、昨年にはガルシアマルケスの小説『百年の孤独』がブームになった。                   

  
■安定か無気力か―日本 
   
 日本は韓国よりも長い間、低成長の泥沼に陥っているが、体制と社会への怒りを扱った本が20位以内に入ったのは、『これからの「正義」の話をしよう』(2010年・総合5位)だけだった。かといって、成功に関する本が売れるわけでもなく、世界的な金融危機が起きた08年には、上位20位のうち11冊が『夢をかなえるゾウ』『はじめての課長の教科書』といった自己啓発書や経営書だった。金融危機後の10年には自己啓発書や経営書が8冊に減り、昨年は5冊にとどまった。

 日本は出版大国といわれるだけに、韓中日3カ国の中では自国の作家が書いた国産ベストセラーの割合が最も高かったが、その中身を見ると、漫画、美容、ダイエットに関する本が上位20冊の半分以上を占めた。健康本がよく売れる点は中国と共通しているが、同じ健康本でも中国は健康に良いことを幅広く扱った本が人気なのに対し、日本では『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』『寝るだけで下半身からやせる!骨盤に効く枕でダイエット』など特定領域を読みやすく扱った本が好評だった。怒りが渦巻く韓国とは温度差があると言おうか。過去5年間に3カ国で共通するベストセラーはウォルター・アイザックソンの『スティーブ・ジョブズ』が唯一だった。



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