2012年2月19日日曜日

■【コラム】第2民間航空会社の成功から学ぶべきこと


【コラム】第2民間航空会社の成功から学ぶべきこと
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/19/2012021900092.html
2012/02/19 07:18

 韓国政府が、韓国国内の航空業界に競争システムを導入し、第2民間航空会社として錦湖グループの参入を電撃的に発表したのは、1988年2月12日のことだった。全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領が退任する13日前のことで、実際に正式な認可が下りたのは退任前日だった。錦湖グループは当時、財界トップ20に入る企業だったが、後に「財閥企業に特別待遇を行った」という批判が起こった。とりわけ、全大統領が80年の光州民主化運動を意識し、湖南(全羅道地方)を本拠地として成長した錦湖グループに特別待遇を行ったという見方が支配的だった。一方、それまで19年間にわたって航空運送を独占してきた大韓航空は、独裁政権時代ということもあり反発はできなかったが「最も懸念していたこと」だとして、「時期尚早だ」「錦湖に果たしてできるのか」と不安感をあらわにした。大韓航空はそれまで、第2民間航空会社の話が出るたびに「国内航空会社は一つで十分」として、航空事業の専門性や安全性などを挙げ、第2民間航空会社の認可阻止に総力を挙げてきた。

 88年12月23日。ついにこの日、光州に向かうアシアナ航空のボーイング737-400旅客機がソウルの金浦空港を飛び立ち、韓国にも複数の民間航空会社を有する時代が訪れた。その後両社は、パイロットのスカウト、運行路線の配分などをめぐって対立することもあったが、共に世界的な規模と路線網を誇るグローバル航空会社へと成長した。アシアナ航空が積極的に新型機種を導入し、空港でのコート預かりサービスや、機内禁煙など斬新なサービスを提供し始めると、大韓航空もいっそうサービス向上に力を入れて取り組んだ。両社が互いにけん制し合ったことで、機内食・空港サービス・航空運賃など航空サービスの質も高まった。大韓航空は、昨年の売り上げが12兆ウォン(約8229億円)に迫り、88年の8倍に達した。また、国際航空運送協会(IATA)の「世界航空輸送統計」では、貨物部門で世界第2位、旅客部門で13位に選ばれた。アシアナ航空も、貨物輸送で14位、旅客部門では27位にランクインした。

韓国高速鉄道(KTX)を運営する民間企業を新たに設立し、競争システムを導入するという案を推し進めてきた韓国政府は、韓国鉄道公社(KORAIL)などの反発を受け、当初の日程を延期し、4月の総選挙が終わってから本格的に協議を行うことを決めた。最近、韓国政府とKORAILが参加する公開討論会が行われたが、双方の主張は鋭く対立したまま、線路のように平行線をたどるばかりだった。

 これまで113年にわたり鉄道を独占してきたKORAILの運営方針や組織が極めて非効率的で、改善が必要だという点は、誰もが認めている。KORAILは、年に平均数千億ウォン(1000億ウォン=約69億円)の赤字を計上している上、大小の事故や故障が頻繁に発生しており、さらには逆走トラブルまで起こし、韓国国民を不安にさせている。KORAIL側も「独占の弊害を改善しようという趣旨には同意している」と語っている。

 鉄道競争システムは、かつて大韓航空がそうであったように、KORAILにとっても、非効率性を改善し競争力のある企業に生まれ変わるきっかけとなり得る。さらにKTXの運転士やエンジニアなど内部の従業員にとっては、年俸アップなど新たなチャンスも生まれる。KORAILや鉄道労組は「民間企業に特別待遇を行っている」「赤字の原因は一般の列車や貨物列車なのに、なぜ黒字のKTXだけを民間に開放しようとするのか」と反対している場合ではない。一方の韓国政府も、漠然と「競争システムを導入すればサービスが向上するだろう」と考えるのではなく、もう少し明確な根拠や事例を提示して、KORAILや韓国国民を説得しなければならない。


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